動きや、それに伴う感覚をデータ化して、それを他の人と共有したり、ロボットを動かそうということらしいです。この先様々なことに応用されていきそうな、すばらしい研究だと思います。
この手のロボットだとかAIだとか先端技術の開発の話では、いつもスポーツへの応用が語られます。すごい技術もデータ化して引き継ぐことができるのではないかと。
しかし、そう語る人は身体のことをよく分かっていないだろうなと思うのです。いや、私はもちろんのこと、人間の身体を専門的に研究している人だって分かっていないことが多いのに、なめてないか?くらいに感じます。
例えば、人間が立った状態でテーブルの上のペットボトルを持ち上げるという動作。
この動画の中では固定されたロボットアームが、人間が行うと同時に同じ動作をしています。おおっ!すごいじゃん!と思いますね。
しかし、実際に人間が行っている動作は、固定された床面に設置している足の裏を起点に行われています。たかが片腕を挙げて、ペットボトルを持ち上げるだけの動作でも、足の裏から脚、腰、胸、肩、腕、指先に至るまでの多くの筋肉が反応しているのです。
ましてや、人間の骨や筋肉の長さ、関節の形状、筋肉の出力値などがまったく同じ人間がいないのと同様に、それらを完全に再現することは現代では不可能です。
見かけ上の現象は同じでも、ロボットアームが人間と同じ動作をしたとは言えないのです。
スポーツで、「技術を盗む」なんてことを言ったりします。理想とする選手の技術を真似てできるようにすることを言います。
ただし、前述のように、人間の身体はサイズ、重さ、形状、筋肉の能力などが一人ひとり全然違いますので、同じことをやっても結果は違ってしまいます。同じような結果を得るためには、自分の身体に合った技術に改変しなければならないのです。
実際には、理想とする結果を目標に、そこに近づくよう技術を構築していく過程をたどるんですけどね。理想の人を観察して、イメージを固めて、真似てみるって、みんなやったことありますよね。ロボットの開発もそういう過程ですすめたほうがいいんじゃないかと、素人は思っちゃいます。
自分の内部の条件だけでもデータ化するのは難しいのに、毎回違う相手がいたり、違う場所、違う道具、違う気候に全身のあらゆる機能を対応させて行わなければならないスポーツのすごい技術をデータ化して同じように再現できるのは、はるか未来のことになるでしょう。
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