身体の使い方や力の出し方と、呼吸の関係はどんなものがあるでしょうか。
力を抜くときに「息を吐いて」と言う人がいます。息を吐きながら力が抜けていくような感じがするんでしょうね。
でも、ボクシングではパンチを繰り出す時、息を吐いてスピードを高めたりパンチ力を高めようとするらしいですし、テニスのシャラポアさんなんかはストロークを打つたびに叫んでましたよね。あれ?逆じゃありません?
開かないジャムの瓶の蓋を開ける時、皆さんは息を止めますよね? あるいはオリャーッと叫ぶ? 叫ぶということは息を吐くということですので、力を出す時には息を止めるか吐くかということですね。息を吸いながらっていう人はいますか?いませんよね。ということは力を抜くんだったら息を吸ったほうがいいんじゃありません?
はい。
一気に強い力を出したい時、あるいは短時間に爆発的な力を出したい時は、やはり息をある程度吸って止めておくのが効果的のようです。
息を吸って止めるということは、胸郭を膨らまして固定するということと、横隔膜を下げつつ腹筋や骨盤底筋を締めることで、腹圧を高め、腹部を固くするという意味があります。皆さんが大好きな「体幹」ってやつを固めることで、四肢の筋力を存分に発揮させようということなんです。幹がフニャフニャじゃ、せっかくの四肢の力もうまく伝わりませんからね。
叫ぶ(息を吐く)のは、意図的というより、腹筋を締めすぎて息が漏れちゃったり、全力を出す瞬間を過ぎた後に息を吐く時につい声も出ちゃうということなんじゃないでしょうか。
大きく息を吸っている場面というのは、力を入れたり瞬発的な動作を始めるのには向いていません。身体を固めていたら息は入らないわけですから、大きく息を吸おうと思ったら、力を抜かなきゃならないですからね。ですから、リラックスしようと思ったら、息を吐くんじゃなく、大きく吸って吐いてをゆったり繰り返すのがいいでしょう。
ただ、ダンスなどで「脱力」という場面は、必ずしもリラックスしていい場面ではありませんね。深呼吸している場合じゃありませんよ。
全身で力をグッと入れてフッと抜くという「動き」を表現するのに、それに合わせた合理的な呼吸を考えた時、吸ってグッと止めてフッと吐くということになります。だから冒頭に書いたように力を抜く時「息を吐いて」になるのです。
柔らかく身体をウェーブさせる時には、肺の動きに合わせて呼吸をしたほうが、スムーズで自然にできるはずです。脱力しているかのように見える動作のための呼吸の仕方があるのです。
というわけで、次回は、呼吸のバイオメカニクスを考えてみましょう。
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